
前回に続けて、CD「クラベリートス」に収録した作品を少しづつ、ここにご紹介していきます。
次の4曲は、過去の記事にあります。
1.「グラナダ」
6.「オリエンタル」
7.「詩的ワルツ集」
9.「アラビア風奇想曲」
今回紹介するアルベニスの「コルドバ」は、グラナドスの「オリエンタル」と共に、
コルドバの過ぎし日の情景を歌い上げた曲です。コルドバ讃歌のあらゆる曲の中で、
この「コルドバ」が最高傑作に違いないと私は思います。
さて、この曲の冒頭には、次のような一文が掲げられ、曲も詩的な内容に満ちています。
<ジャスミンの香りをのせたそよ風が漂う夜の静寂を、
天高く揺れ動く椰子の木のため息にも似た、情熱的で
甘い音色の一弦琴グスラの響きがさえぎる。>
作曲家自身が「夜想曲」と、サブタイトルにつけたように、
曲は夜の静けさを歌い上げています。
はじまりの低音で荘厳に響く和音は、この街のシンボルである
古きメスキータの鐘の音です。そして、続く宗教的なフーガは、
古都コルドバの静かな印象そのものです。中間部になると、
軽快なシンコペーションにのせ、パソドブレの美しいメロディーが
哀愁を帯びて歌います。
1897年の夏、この街を訪れたアルベニスは、この街の佇まいに感動し、
かつてのイスラムの黄金時代に想いを馳せてこの曲を書いたのですが、
こんなにも鮮明に、コルドバの魅了を伝えるアルベニスの才能に驚ろ
かされます。そして、私もこの曲を演奏するときは、いつもはるか千年
の昔、コルドバの世界へと舞い戻り、今と変わらぬ当時の人々の生活、
そしてこの世に繰り返される生と死を想い、メスキータの鐘の音を聴き、
石畳を歩くのです。そして、曲のクライマックスの部分からは、まるで
砂塵が巻き上がったかのように、街から人々のざわめきが一瞬にして
消え、その幻影を追いながら現実へと引き戻されます。

◇ コルドバ(夜想曲)Córdoba (Nocturne) Op. 232-4 Issac Albeniz 作曲◇
楽譜情報*ピアノソロ
スペインの歌 作品232の曲集として、U.M.E、Shott、 IMC版他、国内の
全音楽譜出版社、音楽の友社、ヤマハミュージックメディア社などからも
発売されています。この曲集の第4曲目が<コルドバ>です。
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CDs
・アリシア・デ・ラローチャ「イベリア」
(2枚組アルバム/組曲イベリア&スペイン組曲収録)
・

「グラナダ」に続き、この「コルドバ」をCD「クラベリートス」の
第2曲めに収録しています。
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* ギターとピアノ(編曲)
・・・ ギターとピアノのデュオ作品:グラナダ、コルドバ、セビーリャ
楽譜:アルベニス選集 井上勝仁編曲(全音楽譜出版社)
CD:「KAMAKURA/鎌倉」高木洋子(P )&手塚健旨(G)
「Aromas de Andalucia」クエンカ兄弟(P&G)
DVD:「レイエンダ」マリア・エステル・グスマン(G)&高木洋子(P)
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* ギターソロ(編曲)
CD:「Cantos de España」マリア・エステル・グスマン(G)