2007年06月12日

ロシオ祭の行列 La Procecion del Rocio Op.9

M.de.ファリャと並んで20世紀はじめのスペイン音楽界を代表する
ホアキン・トゥリーナ(1882-1949)も、数多くの魅力的なピアノ
作品を残しています。近代的な和声と民族音楽の特色を色彩的に結び
つけたことから、「音の風景画家」と称えられるトゥリーナの、色彩
溢れる音楽の魅力に溢れています。
「闘牛士の祈り」「5つのジプシー舞曲」「サパテアード」etc 。。など、
他にも私の好きな作品はありますが、ここでは「ロシオ祭の行列」を取り
上げます。実は昨春のこと、マドリッドの楽譜屋さんを訪ね歩いていて偶然
この楽譜を見つけたのですが、日本に帰ってこの曲と取り組んでみると、
なんとこれが、私好みの実に素晴らしい作品だったのです。



復活祭の七週間後の日曜の聖霊降臨祭(5月終わり、または6月はじめ)
セビーリャと県下の人々はトリアーナ地区に集まります。
これは聖女ロシオの像が、これから60Km先の本山に巡礼に旅立つのを
見送るためです。そして大勢の人々もそれに付き添って幌馬車で巡礼する
1週間が「ロシオの巡礼祭り」なのです。
(スペイン語サイト http://www.rocio.com/
 
1913年、パリでこの曲を聴いたドビュッシーが、”美しい絵画を観るかの
ような作品“と讃えたように、伝統的なセビーリャの祭りを、華やかな色彩感
をもって絵画的に描写した曲が、この「ロシオ祭の行列」です。

曲は「祭りのトゥリアーナ」と「プロセッション(行列)」の2つの部分
からなりますが、その基盤にあるのが、陽気なリズムのガロティンと行進曲。
1曲目の「祭りのトゥリアーナ Triana en Feista」は、セギディーリャスの
リズムでセビーリャの喧噪が表現され、続いてソレアレスのリズムによる
「コプラ」と呼ばれる厳かな宗教歌が聴かれます。
2曲目の「プロセッション La procesion(行列)」は絵画的にメロディを彩り、
宗教行列の情景を行進曲でいきいきと描いています。スペイン国家や鐘の音も
交じり、先の祭りの歌と踊りを回想し、最後に祭りは静かに幕を閉じて終わります。

トゥリーナはこの作品を、はじめにオーケストラ曲で書いたのち、彼自身が
ピアノ用に編曲したしました。ピアノ版はテクニック上難しい部分もあり、
中・上級者向けですが、9分を越えるこの作品は弾きごたえも、聴きごたえも
充分の曲です。
 
 
 ◇ ロシオ祭の行列  Joaquin Turina 作曲 ◇
   La Procecion del Rocio Op.9 (1913)


 楽譜:ピアノソロ版(作曲者編)
    Paris : Edicion SALABERT 社
    ピース、トゥリーナ曲集があります。
    (ソロの他に連弾(トゥリーナ編)、2台ピアノ(Lerolle編)もあります。)
    
 録音:ピアノソロ編
    トゥリーナの全曲録音を進行中のアントニオ・ソレア氏のCD、
           Vol.6 Sevilla 編に収録されています。
    (シリーズ名 Obra completa para piano Complete piano works /
            Joaquin Turina Edicions A. Moraleda )
    オーケストラでは
    ・Naxos より、トゥリーナ作品集「Sinfonia Sevillana」のタイトルで収録。


 コンサート:2007年6月15日(金)かなっくホール
    石井三榮子(メゾソプラノ)&高木洋子(ピアノ)ジョイントコンサート
     スペイン音楽・魅惑の世界 
     〜歌とピアノで巡る、バスク地方から情熱のアンダルシアまで〜  
       
     この『ロシオ祭の行列』他、たくさんのスペイン音楽をお聴き頂けます。
     詳細は、ホームページ
     コンサート情報をご覧下さい。皆様のご来場、心よりお待ちしております。
posted by YOKO at 21:50| Comment(2) | TrackBack(0) | ピアノ

朱色の塔の陰にて A l'ombre de Torre Bermeja para piano

 
 前回の『アランフェス協奏曲』の作曲家、J.ロドリーゴのピアノ作品
 の中から、『朱色の塔の陰にて』をご紹介します。

 この作品は、私がスペイン音楽をはじめた当初に演奏していた愛奏曲
 です。久しぶりに最近のコンサート・プログラムにも組み入れて
 演奏していますが、何度弾いても味わい深い作品です。
 ロゴリーゴが曲に込めた深い想いは、そこにとどまらず、聴く人の
 心の奥底につながる想いと重なって響くように感じられます。
 私自身この曲を演奏していると、感動で涙が出るような祈りの気持ち
 が湧いてきて、それが曲の流れに同化して強く胸を揺さぶらされます。
 作曲家の想いが音となり、メッセージとなる、
 『朱色の塔の陰にて』はそのような作品に思えるのです。

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 〜作品が創られた経緯〜
 
 1943年4月、当時の名ピアニストでスペイン物の演奏では当代随一と
 謳われたリカルド・ビーニェスが亡くなりました。その時、ビーニェスを
 讃える曲を、彼と親交の深かった3人の作曲家が提案し、1947年、“リカ
 ルド・ビーニェスの想い出に”とのタイトルのもと、曲集がマドリッドで
 出版されたのです。
 1曲目に、エルネスト・ハルフテルによる「涙」。
 2曲目が、フェデリコ・モンポウの「想い出」。
 そして、最後の3曲目に書かれているのが、ホアキン・ロドリーゴの「朱色の
 塔の陰にて」でした。
 
 言うまでもありませんが、朱色の塔は、他ならぬあのイサーク・アルベニスの
 名曲。リカルド・ビーニェスがこの曲を愛してやまず、またその名演奏に接し
 ていたことから、ロドリーゴは追悼曲として、朱色の塔のテーマを用いること
 をためらいませんでした。曲はアルベニスに似せて3連符からなるテーマを用
 い、スペイン風に、しかしビーニェスが住んだフランスの情緒も盛りこんで作
 られています。
 まず、序奏から始まり、第1主題、第2主題、再び第1主題、序奏、コーダとい
 う構成ですが、これもアルベニスに良く見られるスタイル。
 ロドリーゴは敬愛する大先輩のアルベニスと親友ビーニェスを見事に引き立て 
 て、実に味わい深い作品を残してくれました。

 
 ◇ 朱色の塔の陰にて Joaquin Rodrigo 作曲 ◇
 
 *ピアノソロ(オリジナル)
 楽譜:原題「A l'ombre de Torre Bermeja para piano」
      ・Schott版  ED 7454 (ピース)
      ・Schott版 Spanish nights : for piano 3曲の中に含まれています。      

  CD:ロドリーゴ自作自演の貴重な演奏で、この作品が収録されています。
    ・「Interpreta a Rodrigo : obras para piano / Joaquin Rodrigo」
                           (EMI Classics)
    ・「ロドリーゴ自作自演集」(東芝EMI)
    ・ 私のファーストアルバム「スペイン音楽紀行」にも
      ライブ演奏を収録しています。
 
 コンサート:2007年6月15日(金)かなっくホール 
   石井三榮子(メゾソプラノ)&高木洋子(ピアノ)ジョイントコンサート
   スペイン音楽・魅惑の世界 
   〜歌とピアノで巡る、バスク地方から情熱のアンダルシアまで〜  
       
  この『朱色の塔の陰にて』他、たくさんのスペイン音楽をお聴き頂けます。
  詳細は、ホームページのコンサート情報を
  ご覧下さい。皆様のご来場、心よりお待ちしております。
posted by YOKO at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ